8月19日(日)の城山コンサート『祝祭』には、日本を代表する三味線奏者・上妻宏光さんをゲストにお迎えします。昨年5月にイベントで共演。以来、太鼓と三味線という「たたく」楽器を携え、日本の伝統を、世界へ、そして現代に発信する同時代の芸能者として、互いに深く共鳴。上妻さんは3月、8月に佐渡に来島し、鼓童メンバーと事前稽古を行いました。両者の響きが佐渡で胎動しています。『祝祭』本番に向けて、上妻さんと鼓童代表の見留知弘に意気込みを聞きました。(月刊「鼓童」6月号より)
— 響鳴するの伝統 —
寄稿/三味線プレイヤー 上妻宏光
日頃から生活や旅を共にし作品作りをされている鼓童の皆様の中に入って演奏させてもらうのは、簡単でないことは承知していました。3月に佐渡にうかがい第1回目のリハーサルをさせていただきましたが、初めから音楽の全てがピタリと合うわけではありません。でも、時間をかけ練習を進めるにつれて、共に日本の文化風土から生まれた太鼓と三味線は、自然と同じ空間の空気を響鳴し始めていきました。和楽器の持つグルーブや“間”の感覚が根本に流れている事もあるでしょうが、佐渡という地が僕に何かを与えてくれている…という感覚が生まれ始めていたのです。夏の本番に向け、まだまだ多くの時間を佐渡で鼓童の皆様と共にし、生まれてくる“何か”を僕自身も楽しみにしています。
そして今回は公演以外にもレクチャーの機会をいただいています。そこではこれまでの活動を通じて僕自身が感じてきた津軽三味線そして邦楽の魅力や可能性を、演奏を交えてお話させていただきます。
では、今年の夏、皆様と佐渡でお会いできることを楽しみにしています。
鼓童代表 見留知弘より
3月の稽古はとても充実した時間となりました。鼓童から共演したい楽曲の曲調に合わせて、色々なメロディーが次々と生み出されていく様は、たくさんの絵の具を持ち合わせているかのようにどんな色にでも変化し、そして時には強い、時には繊細な表現になるようにさえ思いました。伝統的な曲との共演については、時間をかけて練り上げ、妥協をしない姿勢に頭が下がりました。
三味線も太鼓も、もとは伴奏楽器としての役割でしたが、時を経て表舞台で活躍する変化を遂げてきました。色々なジャンルとの共演を重ねてきた上妻さんが、鼓童との共演でどんな音楽を生み出すのか楽しみですし、私達も色々なアプローチが出来るようにしたいです。
日本の伝統楽器の可能性を試みている活動は、楽器は違えどお互いに同じ精神なので、野外という解放された空間で、その瞬間に発せられるエネルギーを皆さん、一緒に楽しみましょう。
プロフィール
上妻宏光(あがつま・ひろみつ)三味線プレイヤー
1973年茨城県出身。6歳より津軽三味線を始め、幼少の頃より数々の津軽三味線大会で優勝を重ね、純邦楽界で高い評価を受ける。マーカス・ミラー(B)、ハービー・ハンコック(Pf)など海外アーティストとの共演も多く、日本の伝統楽器と西洋の音楽との融合を行うなど独自のアプローチで高い評価を得ながら、”津軽三味線の伝統と革新”を追求し続けている。
上妻宏光レクチャー&デモンストレーション
EC2日目には、上妻宏光さんによるレクチャー&デモンストレーションを開催。トークと演奏を身近に体験できます。